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棚に掛けられたバイオリンは、ざっと10挺程度だろうか。それを、どれでもとは。
「好みはありますか?」
にっこり微笑まれて、心臓が激しく暴れ出す。
だから、この人は男だって!!
「……特には。ただ、どちらかというと明るい音より、重厚な音の方が好みですね。」
「そうなると、この辺りなんかどうですか?」
そう言って栗色の1本を取り、簡単に音を合わせて渡してくれる。
「これはグァルネリモデルです。」
持ってみると、僅かに自分の物より重い。
構えてみると、なかなかしっくりは来る。ポジションを指でパタパタ確認していると、ハイと弓を貸してくれた。
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