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嬉しい事を言われて、ちょっと苦笑する。 「これくらい、音大に入ろうなんてヤツは普通に弾きますよ。」 彼はほんの少し何か言いたげな顔をしたが、結局何も言わずに困ったように小さく微笑んだ。 ちょっと気になったけど、それ以上に何か言うこともできず、一心にバイオリンを選定しているふりをした。 「よし、これ、いいですか?」 4挺目に試した栗色の1挺を手に了解を取ると、彼はこくりとうなづいた。 「それは、僕が作ったヤツですね。」 「えっ。」 そういえばいつもは見るラベルを、今回は全くチェックしていなかった。
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