1117人が本棚に入れています
本棚に追加
嬉しい事を言われて、ちょっと苦笑する。
「これくらい、音大に入ろうなんてヤツは普通に弾きますよ。」
彼はほんの少し何か言いたげな顔をしたが、結局何も言わずに困ったように小さく微笑んだ。
ちょっと気になったけど、それ以上に何か言うこともできず、一心にバイオリンを選定しているふりをした。
「よし、これ、いいですか?」
4挺目に試した栗色の1挺を手に了解を取ると、彼はこくりとうなづいた。
「それは、僕が作ったヤツですね。」
「えっ。」
そういえばいつもは見るラベルを、今回は全くチェックしていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!