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「ありさか いつき さん…。」 残念ながら名刺には、名前と工房の住所だけしか入っていなかった。 「はい。もし急にこのバイオリンが必要になったり、そのバイオリンに不調があるようなら連絡下さい。」 「………えと、電話番号とか入ってないんですけど………。」 「あ、あれ?」 天然かっ! ワタワタと名刺を確認して、 「すいません、入ってないですね。」 申し訳なさそうに頭を下げると、颯太から名刺を取って、さらりとケータイ番号を書いてくれた。 番号をもらえた事に、喜んでいる自分がいる。 けれど、それには気づかないフリで、口元を引き締める。
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