1117人が本棚に入れています
本棚に追加
「乾。」
同じ学部の乾 瑞稀( いぬい みずき )が、数人と………というより、女子に囲まれていた。
「崎谷。」
そんな状況でも、いつも通りの涼しい顔をしている。おそらく慣れているせいだろう。
「練習?」
背負ったバイオリンケースをチラリと見て彼が言う。
「ん、どっちかってーと、試し?」
楽器を預けた事と、レンタルしてきた事を簡単に説明すると、そうかとうなづいた。
「それよか俺は、あの女子達が気になるんだけど。」
カワイイとかではなく、こちらをギラギラした目で見ている肉食獣のようで。
「崎谷はモテるな。」
「俺を見てんじゃねーだろ。」
何言ってんだ、と軽く腕を小突く。
最初のコメントを投稿しよう!