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「乾。」 同じ学部の乾 瑞稀( いぬい みずき )が、数人と………というより、女子に囲まれていた。 「崎谷。」 そんな状況でも、いつも通りの涼しい顔をしている。おそらく慣れているせいだろう。 「練習?」 背負ったバイオリンケースをチラリと見て彼が言う。 「ん、どっちかってーと、試し?」 楽器を預けた事と、レンタルしてきた事を簡単に説明すると、そうかとうなづいた。 「それよか俺は、あの女子達が気になるんだけど。」 カワイイとかではなく、こちらをギラギラした目で見ている肉食獣のようで。 「崎谷はモテるな。」 「俺を見てんじゃねーだろ。」 何言ってんだ、と軽く腕を小突く。
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