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持ったままだったバイオリンの肩当てを外して、クロスで楽器と弓を拭く。 弓をゆるめて( 弾かない時はゆるめておく ) ケースにしまった。 「うわ、黒っ。」 譜面台の楽譜を覗き込んで、乾が笑う。 乾との目線はほとんど変わらない。 ………あの人は、もう少し低かったかもしれない。 「乾、身長いくつ?」 「は?…173だけど。」 となると、あの人はきっと170くらいだな。 そんな妄想に浸っていると、乾が怪訝そうな顔をして肩をすくめた。 「…で、どうせ気づかないと思ったから、声もかけずに酒、買ってきた。」 俺の質問はなかった事にしたらしい。
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