雪が綺麗と笑うのは君がいい

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翌日小雨の降る中、颯太が寒そうに有坂の家にやって来た。 手にはたくさんの荷物がある。 「こんなに荷物があるなら、家まで迎えに行ったのに。」 「いいんです。今日は俺の好きにさせて下さい。」 そう言って赤くなった鼻を擦ると、まだまだ初めて会った10代のように見えた。 自転車でよくここまで。 荷物を運んであげながら、感心してしまう。 「本当は、ちゃんとしたレストランに連れて行きたかったんですけど。」 寒さで歯がガタガタ鳴っている。 急いでバスタオルを渡して、暖かいリビングへと促し、コートと手袋を脱がすとハンガーに掛ける。 手袋を外した手がまだ冷たい。
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