雪が綺麗と笑うのは君がいい

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その両手をそっと自分の頬に当てて、少しでも暖を取らせる。 「あったかい。」 そう言って嬉しそうに笑うと、ちゅ、と口唇を奪われた。 颯太の持ってきた大量の荷物は、バイト先である『エスコンディーテ』のテイクアウト料理で、有坂の好きなアヒージョ、オッソブーコは温めればいいだけになっている。 ペンネ用のブルーチーズソースもペンネだけ茹でて温めればいい。 いつも作ってもらうばかりだから、たまには何もしなくても料理にありつけるように、と颯太の気遣いだ。 「ありがとう……。嬉しいです。」 「だって、今日は主役ですから。」 明日は有坂の誕生日。 その日になる瞬間、一緒にいたいのは颯太だ。
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