1117人が本棚に入れています
本棚に追加
その両手をそっと自分の頬に当てて、少しでも暖を取らせる。
「あったかい。」
そう言って嬉しそうに笑うと、ちゅ、と口唇を奪われた。
颯太の持ってきた大量の荷物は、バイト先である『エスコンディーテ』のテイクアウト料理で、有坂の好きなアヒージョ、オッソブーコは温めればいいだけになっている。
ペンネ用のブルーチーズソースもペンネだけ茹でて温めればいい。
いつも作ってもらうばかりだから、たまには何もしなくても料理にありつけるように、と颯太の気遣いだ。
「ありがとう……。嬉しいです。」
「だって、今日は主役ですから。」
明日は有坂の誕生日。
その日になる瞬間、一緒にいたいのは颯太だ。
最初のコメントを投稿しよう!