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「えっ、じゃあ……。」 「この辺の楽器屋は、ギターだのベースだのの専門みたいで、バイオリンなんて高くて20万程度のものしか置いてないのよ。」 弓をクロスで拭きながら、中井さんがさらっと言う。ちょっと焦る。 それを見越していたようで、こちらもスコアを片付けながら木村さんが笑う。 「大丈夫大丈夫。今はね、ちゃんとしたバイオリン工房があるからね。」 「そうですか、なら良かった。」 バイオリンは特殊な楽器で、結構な壊れ方をしてもキチンと修理をすれば、また歌うようになる。 それこそ、車に轢かれたストラディバリウスを修理して使うほどだ。 まあ、元値がハンパないうえ、人類の宝と言ってもいいものだ。それくらいの価値がある。 「場所教えてもらえますか?」
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