悪夢

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 畏れているのは悲鳴なのか? 得体の知れないナニモノなのか?  でも、 これは夢だよ。 こんなことは夢に決まっている。 心の中で誰かが断定。  たとえ夢だとしても、 目が醒めなければそれは現実と同じこと。 別の誰かがそいつに答える。  欲するから夢に見るんだ。 欲するから脳が情報を整理するんだ。 さらに誰かが投げやりに告げる。  ふん、 そんなこと、 振りかえればわかるじゃないか!  そう呟いたのは誰だったのだろう?  空気の振動を感じる。 脈動だ。 一様ではない。 ある一定の不連続な規則性を持っている。  想像とは違い、 それは獣の臭いを放っていない。  無臭の香水って意味があるのだろうか? そんなことを考えている。 恐怖が脳を冒したから?  ついで力づくで何モノかに振り向かされる。 いきなり肩を捕まれ、 背骨がひしゃげるくらい強引に……。  何がいる? 何を見た? ガラス質の? 透明なのか?
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