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「遅い!」
やっと来た響(ひびき)に向かって、私は怒った。
「ねぇ、早くこれ受け取ってよ!響だって嫌がってたでしょ」
私は、彼を急かす。
でも、内心はドキドキしていた。
このまま一緒にいたら、本当の気持ちを言ってしまいそうになるから……。
実は、これは罰ゲーム。
一週間前、誰が言い出したのか、クラスみんなでゲームをしたんだけど、結果が最下位の生徒が、一番の生徒にバレンタインチョコを渡すっていうルール。
「あのさ」
「何よ?」
「あのゲーム考えたの、オレなんだよ」
「……え?」
「だって……こうでもしないと、お前からチョコもらえないから」
「……!」
その言葉に、顔が熱くなった。
「それ、どういう意味……」
「どういう意味かは、これから教えてやるよ」
そう言って、響は微笑む。
その言葉を聞いた私の顔は、いっそう熱くなったのだった。
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