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「入るよ」
とある病室の前に来てドアをノックして入った柊真。
私もそれに続いて入ると高杉さん、瑞希さん、一斗さんがいた。
そしてベットには頭に包帯をぐるぐる巻いた長身でおおらかそうな人、パイプ椅子には腕に包帯を巻いた目が二重で可愛らしい男の人がいた。
「なーんだ、柊馬!お前来たのか!!それに妹ちゃんも!!」
そう言ってベットにいる人は笑う。
「隆志(りゅうじ)さんが大怪我したって聞いたから来てみたけど相変わらず馬鹿みたいだから安心したよ」
「なんじゃそれ?ひどいなー」
そう言ってまた笑う。
そして彼は柊馬の横にいる私に目を向ける。
「話はいつも柊真から聞いてるよ。葵ちゃんだよね?俺は西郷隆志(さいごうりゅうじ)。前世は西郷隆盛。よろしくな」
――西郷隆盛(さいごうたかもり)
薩摩藩の中心だった人物。薩長同盟を長州藩と結び、大政奉還へと導いた人だ。
「よ、よろしくお願いします!!」
まさか目の前の彼がそんな大物だと思っていなかったので私は慌ててお辞儀をする。
「いーよいーよ。そんなに堅くなくても」
そう言って笑う西郷さん。
教科書の西郷さんは凄い怖いイメージがあったが話してみて、いい意味でイメージが崩れた気がした。
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