第10話

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「努力して、自分の無力さに気づいて、またそうやって努力して、自分を高めているその姿。それは並大抵じゃないぜ」 私の位置からは虎河くんの顔は見えない。 けれども、きっと彼は笑顔で言っている。 そう思うのだ。 「仲間(おれら)はちゃんと知ってるんだから」 その虎河くんの言葉で武田さんは頭を抱える。 持っていた刀が地に落ちる。 「「?!?!」」 私たちは武田さんのそんな姿に思わず近付く。 「大丈夫か?!」 「大丈夫ですか?!」 そして今にも倒れそうな彼を支える。 「――――ありがとう」 私たち二人を見て言う。 「助けて、くれて」 「声、届いたよ」 そう武田さんは微笑み、気を失った。
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