第10話

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不安。 得体の知れない何か。 恐怖。 私の知らないところで何かがうごいているようで。 この場から、今すぐ逃げ出したい。 でも足が動かない。 指も動かない。 声も出せない。 真っ直ぐしか見れない。 知りたくない。 だけど知りたい自分もいる。 矛盾。 「こっちにおいで」 彼は笑う。 手を差し伸べる。 真っ暗闇の世界。 他に音は聞こえない。 “私”と“彼”と、二人だけ。 彼は私の手を取ろうとする。 赤い瞳を私に向ける。 「一緒に、堕ちよう」 私は―――――。
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