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先生に頼まれて学校案内をしている。
「こっちが調理室、で、こっちが情報処理室」
「紫桜」
「……なに?」
「……目も合わせてくれないんだな」
「……必要、ある?」
ぐいっ。
肩を捕まれ、和人の方を向かされる。
そして、初めて、別れて初めて目を合わせた。
苦しい顔をしていた。
「あの時は……悪かったと思ってる。
それに……その後も……」
「……ちょっと考えればわかるわよね。私が、どんな思いしたのか、解ってる?
解るわけ無いわよね!?あんたたちの頭はお花畑だったもの」
「……笹木たちが流した噂、のことだろ」
「……被害者は私の方よ!あんたたちが、影でこそこそつきあって、ばれそうになったから別れ話して、私はこれ以上二人を苦しめたくなかったから。大好きなふたりだったから、諦めたのに!なのに、なんで、私が、悪者にならなきゃいけないの!?」
和人と別れたあと、和人の友達で夏々のことを好きだったヤツが、噂を流した。
二人を苦しめるために別れなかった、って。別れ話をしたときに夏々に暴力をふるった、と……。
実際には、別れ話をしたときは和人と二人だけだった。
噂っていうのは面白おかしく色々作った話もプラスされていった。
実際に先生にも呼ばれた。
私にとっては苦痛の一年だった。
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