第1章

3/7
前へ
/7ページ
次へ
「ちょっと待ってください。僕にだって一人くらい友達がいます。そいつなら僕を少なからず必要だと思ってくれてるはずです。そいつを呼んできてください。名前は」 「小林春君」 「知っているなら――」 男は名を挙げながら紙の一点を指さしていた。 指先には小林春という文字が手書きで書かれていた。見覚えのある春の字だった。 僕は目を疑った。親友の定義はわからない。親友と呼ぶつもりもない。 だけど春は良いやつだと思っていたんだ。 困っている人間を放っておけないタイプだと思っていたんだ。 そんな彼が僕をいなくていいと。 いない方がいいと。 そう思っていたんだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加