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「結婚式楽しみにしてるね」
「ありがとう!まだそんなに忙しくはないからまた会おうね。じゃあね」
真奈美の話はやはり結婚のことだった。
ついにプロポーズされ、数ヶ月後に式をあげるのだそうだ。
実際会って幸せそうな真奈美を見たら英那も幸せな気分になり心から祝福できたのだが、別れてひとりになった途端、泣きたいほど哀しくなってしまった。
このまま帰ってひとりの空間に閉じ込められるのが嫌で、あてもなく街の中を歩き回る。
どこか適当な店に入って気を紛らわそうと、目についた路地へ足を踏み入れたとき男性とぶつかってしまい咄嗟に謝った。
「ごめんなさい」
その男性が顔をしかめたのが一瞬見えたが、謝った英那は再び歩き出そうとした。けれどすぐに呼び止められて振り返る。
「ねえ、ぶつかったお詫びにちょっと付き合ってよ。女の子に約束破られて暇してるんだ」
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