0.サーベル・クリーチャー

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――――数時間前―――― 「はぁっ、はぁっ…」 ザッザッザッ…… オレンジ色のつなぎを着た2人の男が、 山の中を走っている。 気温が高いためか、 走りにくい斜面を横切っているためか、 2人は大量の汗を掻いていた。 3m程前にいる不潔な長髪で細身の男が、頭を振って汗を飛ばす。 しかしその表情は、にやけていた。 「小金(こがね)っ。もっと死にもの狂いで走れぇ! これは奇跡なんだ!この先は最高の楽園だぞっ。 ひょへへへへ―――っ!!」 一瞬、手を膝に突いた後ろの男は、 苦しそうに目を瞑る。 彼の右頬には、切り傷があった。 「て、てか…。ここはどこですか? いきなり走れって、もう20分は経ちましたよ…。 お、俺…、刑務所から脱獄した…記憶? 全くないんですけど……」 前にいる男は、 後ろを向いて足を止めた。
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