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第1章 真の悪と心の悪
俺が洞穴で寝ていると遠くで仲間の遠吠えが聞こえた。辺りは月の明かりによって眩い光で満ちている。
そう、今夜も俺たちの狩りの時間の始まりだ。
ガサガサと草を掻き分ける音と共に見知った顔が顔を出した。
「おい、コハク。いつまで寝ているんだ。もう俺たちの群れは狩りを始めているぞ」
そいつは口の周りに獲物の血液を付け胸元まで赤く染まっていた。
「昨日の疲れが取れていなくて爆睡してしまっていたよ。よし、行くぞ。レン」
俺とレイは地面を蹴ると風のように草原を駆けた。この日の大空(そら)は満天の星空だった。
そう、この日は俺にとって運命を分ける大切な日だった。
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