御神木

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「なんだぁ?」  訝し気な顏をしてそれを受け取った高橋は、手の上に置かれたものを確認した。  クラスの中心にいた彼の手に皆の視線が集まる。 「きゃぁぁぁぁぁぁ!」 「わぁぁぁぁぁぁぁ!」  あちこちから絶叫が上がった。  皆が二人から更に遠ざかる。  高橋の腰ぎんちゃく達までもが、顔面蒼白になって、背を反らせ、一歩一歩後退する。  彼の手に置かれた物とは、あの『楠』の不気味な程真っ赤な葉。  震える手。  落ちる葉。 「お、オメェ。ま、さか……」 「うん。僕は呪いなんて信じないからね」  ニヤニヤとした笑みを浮かべる吉田を見て、高橋はチッと舌うちをし、表情を強張らせた。 「オメェはどこまでやった?」 「僕? 僕はただ、そこにある葉を木の枝から取ってきただけだよ?」  簡単なことだと言わんばかりに、飄々と話す彼は、片方の口端を上げ、意地悪そうな顏をした。 「勿論。怖いもの無しの“高橋くん”なら、これ以上の事をしてくれるんでしょう?」 「あったりめえだ!」  頭に血が昇っている高橋は、吉田に煽られるがままに、彼の挑発に乗っかる。 「とかなんとか言って。違う楠の枝とか取ってきたりして……」  ここまで小馬鹿にされて黙っている高橋ではない。 「うっせぇぇ! お前ら全員、今から俺について来い!」  とうとうブチギレて、周りを巻き込み、教室の外へと飛び出した。
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