御神木

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 授業が始まる寸前だった事もあり、一部の生徒以外は教室に残ったが、僕は、高橋や吉田達と共に校舎裏の片隅に立つ、禍々しく真っ赤に染めた葉をつける楠の元へと走った。 「いいか! オメェら! こんなクソみてぇな木、余裕だ!」  僕は一応“止めておきなよ”と忠告したが、一切聞く耳を持たない。  それどころか彼は柵を飛び越え、一気に楠を蹴った。  ドン!  強い衝撃が楠に伝わり、葉が舞い落ちる。  更に激しく蹴りを入れる。  ドン! ドン!  大木にショックが伝わる度に葉が落ちる。  あか……この赤い葉。  まるで血が染み込んだような…… “高橋くん。もう止めなよ”  僕は再度、そう忠告したというのに。  逆に吉田が挑発してしまった。 「何だよ。そんなもんなの?僕は、“この手”で葉をむしり取ったのに」  得意気に両手を見せつける彼の姿を見た高橋の頭は沸騰寸前。
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