33人が本棚に入れています
本棚に追加
授業が始まる寸前だった事もあり、一部の生徒以外は教室に残ったが、僕は、高橋や吉田達と共に校舎裏の片隅に立つ、禍々しく真っ赤に染めた葉をつける楠の元へと走った。
「いいか! オメェら! こんなクソみてぇな木、余裕だ!」
僕は一応“止めておきなよ”と忠告したが、一切聞く耳を持たない。
それどころか彼は柵を飛び越え、一気に楠を蹴った。
ドン!
強い衝撃が楠に伝わり、葉が舞い落ちる。
更に激しく蹴りを入れる。
ドン! ドン!
大木にショックが伝わる度に葉が落ちる。
あか……この赤い葉。
まるで血が染み込んだような……
“高橋くん。もう止めなよ”
僕は再度、そう忠告したというのに。
逆に吉田が挑発してしまった。
「何だよ。そんなもんなの?僕は、“この手”で葉をむしり取ったのに」
得意気に両手を見せつける彼の姿を見た高橋の頭は沸騰寸前。
最初のコメントを投稿しよう!