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腰巾着共は、彼は気まぐれな奴だからと、そんなにも気にしてはいなかったが、吉田と僕は妙に気になっていた。
そして、案の定、高橋はその日から姿を消した。
最初の一日や二日は、高橋の両親も、特に慌てたりはしなかったが、三日目ともなると、流石におおごとだと感じたのか、思いつく全ての人に連絡し、あらゆる場所を探したそうだが見つからず、全校集会が開かれる程の騒ぎになった。
警察にも通報したそうだが、普段の素行の悪さからか、一応、捜査はするものの、まだ彼が姿を消して三日目。
そのうち、ひょっこり出て来るのではないか? という見方が強いらしく、あまり頼りになるような感じではなさそうだ。
そんな中、吉田は日に日に顔色が悪くなっていった。
高橋のツレ達もその様子に気が付いた。
「お前はアレに触って何にもないのに、なんで高橋が折った枝からは血が出たんだ?」
「お前、何か知ってるんじゃねぇの?」
不審に思った彼らは、とことん吉田を問い詰めた。
僕は“止めなよ。吉田くんは何も知らないよ!”と、皆を止めるが、全然聞いてくれない。
すると、震える声で吉田が口を開いた。
「ち……ちが……違うんだ……」
「え?」
「ぼ……く。あの楠に……触ってないんだ……」
「は?」
「だ、から。僕は……あの葉は……落ちていた葉を拾って……それで……」
高橋のツレ達の顔色も徐々に青ざめ、更には震え出す奴までいる。
「じゃあ……」
「もしかして……?」
その言葉に吉田はコクリと小さく頷く。
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