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「多分……い、や……絶対に……あの“楠”の祟り……」
吉田がそう言うや否や、「んなわけ、あるかよ!」と怒声をあげる奴がいた。
自称・高橋の親友の川端だ。
教室中が彼の方に注目するが、そんな事はお構いなしに「何が“楠の呪い”だ! “祟り”だ! ふざけんな! そんな木、ぶった切ってやらぁ!」と言って教室を飛び出した。
驚きで目を見開き茫然と立ち尽くす者。
ヒソヒソと川端が去って行った方を見ながら噂する者。
クラスメイトの反応は様々だが、虚ろな目をして、俯きブツブツ何かを言い続けている吉田をそのままにし、僕も高橋のツレらも川端を追い掛けた。
「うわ……わぁぁぁぁぁぁぁ!」
学校中に響いたんじゃないかっていう程の悲鳴が聞こえる。
僕達は、急いでその叫び声の方へ。
そう、件の楠の元まで駆け付けた。
そこには、楠の柵の前で尻もちをつき、上を見上げたままの格好で、腰を抜かしている川端の姿があった。
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