第1章

4/4
前へ
/4ページ
次へ
突然、リビングのベランダに面した窓に衝撃が走る。 俺達は衝撃が加えられた窓を見た。 そこには、先程眼下に見えていた暴徒の1人がいて、窓のガラスにかじりついている。 俺は一瞬訳が分からず棒立ちになるが、直ぐ我に返りみんなに指示を出す。 「窓ガラスは特殊な防犯ガラスで簡単には割れない。 それより鍵がかかっているか、全ての窓を確認しろ」 みんなは部屋中の窓の鍵を確認するため、リビングから駆け出して行く。 皆に指示を出したあと俺は、リビングの隅に置かれている監視モニターのスイッチをいれ、ベランダの庇に設置されている、防犯用の監視カメラの映像を見た。 監視カメラに映っていたのは、砂糖に群がる蟻のように、マンションに向けて四方八方から走り寄る奴らと、最上階を目指し這い上がってくる奴らの姿である。 奴らは仲間を踏みつけ、身体にしがみつき、我先にと上を目指し這い上がっていた。 中には途中で転がり落ちて行く奴もいるが、他の奴らはそんな事を気にする素振りも見せず、ガムシャラに上を目指す。 ベランダには俺達の肉を求める奴らの姿が次々と増え、窓ガラスに歯や爪を立て、窓ガラスに圧力をかけている。 それを俺と仲間達は武器を手にする事さえ忘れ、目を見開き身体を硬直させ、窓ガラスが破られる時を待っていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加