第1章

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 ボクはもらったホットココアをのんで一息ついた。生クリーム入りのやつ。朝から走ったり人を押しのけたりで大変だった、なんて感慨深く駅の天井を見上げると、ススやホコリだらけで汚くて、後悔する。 「……で、ここ一週間はだんまりですか」 「それが不思議でねえ」 「旅行とか……は言ってないか」 「隠れてってこともあり得る」 「いや、このテの人は何でも気にせず言いますよ。後悔なんてないですから」 「やはりそうか……」  ルミナ先輩は立ち上がると、空き缶をゴミ箱へ入れた。 「よし、大体分かった」 「行くんですか?」 「そう、何かちょっと、ワクワクしてきたし」 「そ、それじゃ困るんだが……」  ボクらはここにきてようやくホームから出て改札口へ向かい、その主犯のアパートへと向かおうとした。  けれど、すっかり忘れていたことだったけれど、掛頭さんが駅員に呼び止められてボクまで同行するはめになって、先輩だけ、一足先に行ってるねと別れてから、ボクはまだ係員室の硬い椅子に座ってそろそろお尻が限界に近づいていた。
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