相沢満月編《9》

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「さて、俺らはそろそろ帰るか?」 そう言って立ち上がる井芹。 だいぶ長い事病院で寛いでしまった事に気が付いた。 「私たちも帰りましょうか、恭太」 釣られたのか、幸子叔母さんも立ち上がった。 「ああ。あ、満月と井芹先生、夕飯は?食べて行けば?」 恭太クンが誘いの言葉を言ってくれたすぐに 「そうよ。ノンちゃんが入院中じゃあ支度も大変でしょう?食べて行きなさいな」 叔母ちゃんからも誘ってもらった。 素直に甘える私と井芹。 だって、ノンがいないとご飯は外食かお弁当か・・・・ 私の誕生日以降、何度か恭太クンのお宅にもお邪魔させてもらっている。 学校から近いし、ノンが検診でいない時なんかは恭太くんちで待たせてもらったり。 「満月。お出汁をブクブクと煮立たせたらダメよ」 叔母ちゃんは、私にも料理のイロハを教えてくれる。 「叔母ちゃん。このちっこい魚はどうするの?猫のエサ?」 いりこを持ち上げて質問すれば 「満月ネコが食べてもいいわよ」 叔母ちゃんにはネコ扱いされた。 「いりこ食ったら、大きくなるかもよ」 リビングで、井芹に数学を教えてもっていた恭太クンにも揶揄われた。 今年に入ってからの身内と言ってもいい恭太クンと叔母ちゃんだけど、血が通っているからか、すんなりと家族付き合いが出来た。
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