私は一度死んだのだ

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あらかじめ言っておこう。私が言うのも何だが容姿はかなりの美少女だと思う。栗色のロングヘアーにきめ細やかな透明感のある肌細長い指。母親とよく似ていると言われる。ただ一つ遺伝しなかったとしたら胸がペッタンコなところ。グラマーではなくスレンダー体型、この体の方が動きやすいからこちらとしては助かる身である。 しかし困ったことに今の私は、足が遅く、力も弱い。ひ弱な体をしている。マネージャーをしているのも、私が鍛えても十分な結果が出せないためやむを得ない結論なのだ。              * 朝も終わり昼休みになった頃。 「日向さんって、普段どんなシャンプー使ってるの~?」 「えっ?いや、母親と一緒のモノ使ってるけど・・・」 「ねぇねぇ~、昨日のOステ見た~?」 「あ、うん。見たよ。」 「今度いつ開いてる~?カラオケ行きたいんだけどさぁ?」 「・・・日曜日なら開いているよ。」 この時間私のまわりにはたくさんの女子で群がってくる。毎回毎回猫なで声で次から次へと来る質問で休む暇を与えさせてくれない。おまけに飯もだいたいギリギリで食べ終わることが多い。どうしてこうも人は群がりたがるのか、私にとって約五十年ほどの疑問である。 「ひなぁ!ちょっと来て~!」 かよからの救いの手が来た。本当に助かった・・・ そしてなぜか側には坂本先生が。 「先生どうしましたか?」 「選手達の資料と対戦相手のDVDを渡しに来たんだ。お前らにも知っておいて欲しいからな。あぁ、あとボール磨き。もう少し丁寧にやっとけ。そう言う訳だから放課後やり直しなぁ」 「まじっすか~」 これはかよの発言である。決して私は思っていても口にしない。
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