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最悪だ会社にリストラされた。
私は自分で言うのもなんだが、優秀な営業マンだった。月間成績は何度もトップだったし、社長賞も何度か貰った。
それによって営業部長に30代の若さで昇進し、社内では社長、専務に続く高給取りなった。
しかし、昨今の不景気のあおりと、社長の無謀な事業拡大、専務の経費私的流用で会社はたちまち火の車となり、高給取りであった私がリストラの憂き目にあってしまった。
私には誓って落ち度はない、会社のために馬車馬のごとく働いてきた結果がこれだ、今まで亭主関白で家では我が物顔で振る舞っってきた反動で妻には逃げられ、何もかも失ってしまった。
そこで私は会社をはじめとした社会に復讐しようと計画した。
まずは私を捨て猫のごとくリストラした会社に復讐だ。
こうなったら会社を派手に爆破してやろう、今時は便利でインターネットを使えば夕飯のレシピを調べる様に時限爆弾の作り方を知ることができる。もともと機械いじりが好きだった私は簡単に時限爆弾を作ることができた。
あとはにっくき会社にセットするだけだ。
幸い会社はけち社長のおかげでまともな警備装置をつけていない。かつて知ったるわが社に同僚に見つからないように忍び込み、1時間後にセットして建物から退散した。
いよいよ爆破まで10分、5分、1分、30秒、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、爆破!......あれ爆破しない。
おそるおそる設置したした現場に行ってみると残り5分で停止している。
どうしたのだろうと思うと急に作動し始めた。私はあわてて爆弾を解体し、会社から退散した。
仕方ない、会社は後回しでかつての妻に復讐してやる。
今度は失敗しないよう作戦を練ってきた。3日後に妻と引き取られた娘の面会日になっている。離婚協議の条件で1か月に1度娘に会えるという権利を死守したのだ。
その日が来た、かつて3人で住んでいた街の隣にあるピエロという喫茶店で食事をすることになっている。先に店にいると妻の恵子と娘の真奈美が来た。妻は最近、男ができたらしい。日増しに太っていくこの女にどんな魅力を感じたのだろう。それにひきかえ真奈美のかわいらしさといったらないお母さんに似なくてよかった。
食事はメニューは決まっている、妻はミートソース、娘はハンバーグ、私はピラフだ。
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