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ストーカー と、表現したらいいんだろうか。 直接被害は被っていないものの、正体不明の得体の知れない男に数週間四六時中付け回された私は、珍しく神経的に参り、引き込もり騒動を起こした事がある。 その頃は父さんの反対を押し切ってひとり暮らしをしていた為、まさか助けを求める訳にもいかず、結果、弟の高良に迷惑をかける事になった。 ストーカーはある日突然姿を見せなくなったけれど、心配した高良は大学を変え、私を連れて実家へと戻った。 『そこまでしなくても』 呆れる私に 『何かあったら嫌だから』 真顔でそう言った高良のお母さんは 私の母が亡くなった数年後に、不慮の事故で命を落としている。
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