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ママのことは嫌いじゃないけれど、コソコソと事を運ぼうとする父さんのやり方が気に入らない。 はっきり言って、こんな腐れエロジジイには勿体無い程の女性なんだから。 「……いや。そーいうんじゃなくて、ほら、ざっくり言うなら慰安旅行」 「なにが慰安。たいして仕事もしてないくせに」 サクッ。どころか、グサッと刺さった私の言葉。 「うっ」と怯んだ父さんは啜っていた素麺を喉に詰まらせ、激しくむせる。 「謙さん大丈夫?はい、水」 素麺が鼻に入ったと痛がる父さんに、高良がグラスに入った水を渡した。 それを受け取り「やっぱり高良は優しいなぁ」と涙ぐむ父。 「……」 大学を卒業した後、父さんの探偵事務所を手伝うと言った高良の将来が本気で心配になる。
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