5088人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
そして二週間後。
宣言通り、娘と息子を残して父は旅立っていった――
チーン。
「……琴姉、謙さん死んでないからね」
仏壇で手を合わせる私の背後から呆れる声。
お母さんの写真立ての横にこっそり置いた父さんの写真に気がついたようだ。
「いーの」と不貞腐れる私に「梨剥いたから食べよ」と困ったように笑う高良。
私が立ち上がった後に仏壇の前に座り、木のお皿に置いたまあるい梨をお母さんにあげて、お線香に火をつけた。
最初のコメントを投稿しよう!