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「琴姉、最近和音さんに似てきたよね」
シャリ。と爽やかな音を立て、甘い梨の果汁を口いっぱいに味わう。
「そうかな」
仏壇にあるお母さんの写真立てに目をやり、もぐもぐと口を動かした。
「雰囲気っていうのかな。笑った顔とか、なんとなくね」
そう言って、高良も私と同じように写真のお母さんに目をやった。
高良は生きている私のお母さんと一度だけ会ったことがあるそうだ。
だいぶ昔だから、うろ覚えだけど。そう言っていたような気がする。
自分の父でもある人を『謙さん』と呼び、義理の母でもある人を『和音さん』と呼ぶ高良。
それを寂しく思った時もあったけれど、今ではそれが普通になった。
慣れ。ってそんなものなのかな。と思う。
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