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「零れてる」
私の口元から垂れた果汁を指で掬い、高良はその指をペロリと舐めた。
「ありがと」
普通の姉弟もこういう事するのかな。
なんて疑問を抱きつつ、高良から手渡された梨を口に運んだ。
「お土産、食べ物だといいな」
「父さんて変なキーホルダーとか買ってくるからね。ママが止めてくれるといいけど」
シャクシャク。梨を食べる音。
騒がしく鳴く蝉の声。
「しばらく琴姉と俺。二人だけだね」
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