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「……」
過去の記憶から戻り、車道側を歩く高良を見上げる。
年を重ねる度にその角度が大きくなった。
手も足も大きくなって
少年から青年へと成長した身体は
太陽の光から私を隠す。
「なに?」
私の視線に気がついた彼に
「別に。なんでもない」
素っ気なく答えた。
高過ぎず、低過ぎない高良の声は、私の耳に心地よく通る。
声変わりした声も嫌いじゃなかった。
「そう」
高良は優しい。
それは昔も今も変わらない。
「今日は坦々麺にしようかな」
父親を気にかけながらも、結局、私の言うことはなんでも聞いてくれる。
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