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「タクシーで帰ろうか」 ようやくちゃんと私を見た高良がそう言ったのは、改札を抜けて空を眺め、さて。と、傘を開こうとした時。 「大丈夫じゃない?」 どんよりと暗く重い空を見上げ、その視線をそのまま高良に移して答える。 「雷、強くなりそうだから」 「走れば大丈夫だよ」 「そういう問題じゃなくて」 「タクシーを待ってる時間が嫌。その間に家に着くと思う」 「それはそうだけど」 「でしょ?じゃあ」 「だめ。危ないから」 「あの行列に並ぶのが嫌って言ってるの」 高良と同じことを考えた人達が作った長い列。 私達が乗る乗らないで揉めている間にもその人数はどんどん増えていく。 「我儘言わないで」 「じゃあ高良だけ乗りなよ」
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