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「お姉ちゃんまだー?」
「もう出れるわよ」
時計の針はピタリと9時を指していた。
いつもなら10時ぐらいに出掛けるのに今日は珍しく早めに行動出来そうだ。
「じゃあ、気をつけてね」と母は言う。
「大丈夫よ、県内だから、あはは」
姉はそう笑い、自分の車の鍵を持って玄関の扉を開ける。
「行ってきます」と私と姉は声を揃えて母に言った。
車庫に入らないので少し離れた所のパーキングに停めていると姉は言うので歩かざる得ない。
「なによ、その顔。私だって歩きたくないわよ」
「どこに行くの」
「この子のお洋服買いにね、アンタに決めて欲しいの」
大きなお腹をさすりながら姉は私に言う、何故私なのかとは問いたかったが面倒だったので黙っていた。
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