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「なんだそれ」
舞子はもう一口、お茶を飲む。冷房の音だけが響き、とても静かだ。やっぱり、こんな日に会話なんて弾む訳がない。
「だって私もう、この世に絶望してるの」
その時、甲高い警告音が耳を突き、心臓を貫いた。とうとう来てしまった。どうなるかと思ったが、案外冷静でいられた。絶対泣くだろうと思っていた舞子も、平気そうだった。警告音は容赦なくなり続け、俺たちの最期を知らせる。
「いこうか」
「うん」
睡眠誘導剤を持って、二つ用意しておいた断熱材の寝袋に入ろうとする。
「ねえ、」
「なに」
「そっちに入って良い」
俺は少し考えてから、
「いいよ、もっと大きいの買えば良かったな」
「いいの、これで」
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