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「ねえ、待って」
凪は案の定
やらかしたって顔して額に手を当てる。
「早速だけどすぐに記事を書いて」
僕は腕組みしたまま
本物の使用人にするように彼に命じた。
「……なんて?」
早いこと行方不明の王様を
燻り出さなけりゃ。
「そうだな。件の天宮家の三男は、そりゃ実の兄でさえ夢中になりかねない妖艶な美しさだと。そして――」
僕はもう一度凪に近づくと
両手で彼を抱き寄せ
「何の疑いもなく使用人に化けた自分を受け入れ始めていると――」
唇を掠めて
右の頬にゆっくりと口づけてやる。
「よろしく頼んだよ――有能な記者さん」
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