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「説明なんか。みんなこの手の週刊誌を読んでるなんて思われたくないから見ないフリでしょう」
初回の取材は大成功。
それもそのはず
裏で本人が協力してるんだから。
「それじゃ肝心の我が家の王様も見て見ぬフリするかもな」
「薫お兄様っ……」
丸めた誌面でポンと僕の頭を打つと
綺麗な皮肉屋め――。
鳶色の髪をなびかせて
煙草に火をつけた。
「にしてもだ」
「ん?」
ゆっくりと燻らせる。
「征司はどうしていなくなった?」
白百合みたいな色した頬を
包み込むように昇って行く紫煙。
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