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「そんなことより――」
背後から件の記事を覗き込み
愛想笑いを引っ込めた椎名涼介は
「また何か楽しい遊びを始めたわけだ?」
興味深げに聞いた。
「さあ。僕にはさっぱり」
「とぼけるなよ。分かってるぞ」
そうだった。
彼の正体は錬金術師。
「これには訳が――」
「訳?」
当然僕の嘘なんて通用しない。
「取材に協力して征司お兄様を探して貰おうと」
「征司くん?」
「ご存知ない?いなくなったの。亡霊みたいに」
だから隠し事はやめて
率直に言ったわけさ。
答えはこうだった。
「おかしいな。征司くんならついさっきそこに――」
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