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やばい、と危機感を覚えるより先に、自分の間抜けさ加減に苦笑してしまった。オフィスビルの階数から咄嗟に高さを計算してみても、まず助からない重力加速度が加わりそうだ。彼らの正体という謎を明かさないままになってしまったのは心残りだが、仕方ない。
でも好奇心で死ぬなら、まあ悪くはないかな。一瞬あとには身を襲うであろう衝撃を予想してか、都合が良いことにゆっくりと薄れていく意識の中でゆずるは自主的に目を閉じた。人は探究心なくしては人たり得ない。
自分の生き方に不満なんて無かったが、敢えて願うなら……次の人生ではもうちょっと恋愛方面にも強くなりたいものである。
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