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同人作家でいたほうが良かったのかもしれないな、と、うっかり商業デビューしてしまってから自分の適性の無さを思い知った。当然ながら書きたいものを書く、というだけでは、職業作家は務まらないのである。
次は恋愛小説を書いてみないか、と持ちかけられた。
前作の推理小説で、主要キャラクター内の恋愛関係を仄めかすような描写をしたのがまずかったに違いなく、今こうして頭を抱える羽目になってしまっているのだ。
恋愛小説なんて、これまで書いたこともなければ書こうとも思わない。それなりに実際の経験もなくはなかったが、論理と判断推理を根底に置く自分が惚れた腫れたを上手く立ち回れようはずもなく、全てにおいて恋人に愛想を尽かされてきた。決まって別れの言葉は「こんなに偏屈だとは思わなかったわ」で締めくくられる。
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