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何度このループを繰り返したか、効き過ぎた空調も相まって頭が重い。もう帰ろうかと席を立ったところで、かさりと紙が落ちる音がする。テーブルの足元に半分滑り込んでしまったそれは、コピー用紙のようだった。
「なんだこれ」
自分の手荷物にこのようなものはなかった。落ちたモーションと角度からして、椅子の背に挟まっていたのだろう。無論、腰掛ける前もコピー用紙など突き刺さってはいなかった。
誰かの忘れ物だろうか、と思うより先に、好奇心が沸いてくる。折りたたまれてA5サイズになっているA4用紙は、中心に何かが印字してあった。小説家として最も重視すべき野次馬精神に則って、目を通す。
ふへっ、と、自分でも良く分からない笑い声が洩れた。
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