第一章 幽霊部員

8/12
前へ
/23ページ
次へ
 内心では裏腹に(ゴンタロウを呼んでおけばよかった)と、後悔している。景子は小柄で一五二センチしか身長がない。普通の女子より強い自信はあるものの、勝てる気がまったくしなかった。なんといっても高校二年の乙女――いくら空手部でも幽霊は怖いのだ。  しかしいつまでも、更衣室の前でボンヤリしているわけにはいかない。  入ってみることにして、「い、いくよ、かっちゃん!」と、相方に呼びかければ、「お、おう!」と、平野は箒を握り締めた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加