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先ほどの威勢はどこへやら、へっぴり腰で更衣室に入ったが、敵の姿はどこにもない。
「な、なんだ、誰もいないよ」
景子は安堵の溜息をついたが、平野のリアクションは違った。
「ひ、ひ、ひぃ! ね、ねえ、どっかで《お経》が聞こえてこない?」
「へ? マジ?」
たしかに、よく耳をすませばブツブツと《お経》のような声も聞こえてくる。
「いったい、どこから?」と、声がする方向を景子がたどってみれば、なんと部室の隅にある三角形式の二股コンセントから《お経》の声が聞こえる。
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