第一章 幽霊部員

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 先ほどの威勢はどこへやら、へっぴり腰で更衣室に入ったが、敵の姿はどこにもない。  「な、なんだ、誰もいないよ」  景子は安堵の溜息をついたが、平野のリアクションは違った。  「ひ、ひ、ひぃ! ね、ねえ、どっかで《お経》が聞こえてこない?」  「へ? マジ?」  たしかに、よく耳をすませばブツブツと《お経》のような声も聞こえてくる。  「いったい、どこから?」と、声がする方向を景子がたどってみれば、なんと部室の隅にある三角形式の二股コンセントから《お経》の声が聞こえる。
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