第一章 幽霊部員

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 錯乱したのか、平野が景子の背中に蹴りを命中させたのだ。  「きゃああ!」と、予期せぬ親友の裏切りに景子は悲鳴を上げたが、不思議なことに少しも痛くない。痛くないどころか、見覚えがない男が「ぎゃあ!」と、声を上げて、床に倒れたではないか。  大学生くらいの男で、若ハゲで河童のような容貌だった。  いきなりどこから現れたのか、まったく景子は気がつかなかった。  「な、なによ、このハゲ! かっちゃん、こいつ、どこにいたの?」  どうも蹴った平野も気がつかなかったようで、首を横に振っていた。  「わかんない、とりあえず影があったから、その反対方向に蹴りを入れてみたのよ」  そして運良く命中したというわけだ。
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