第二章 悪意

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 実験の結果、あの機械では食べ物や恋愛感情など好みに関わった複雑な命令は無理で、操作できるのは無意識に起こす単純な行動のみであることが判明した。  もちろん誰にでも効果があるわけではなく個人差がある。催眠に弱い人間でも数ヶ月の期間が必要なのだ。  つまり《幽霊部員》に怯えたのは平野、景子を含めた、ほんのわずかな人間で、あとは集団心理で気味悪がっていただけ。  景子が右足を試合中に負傷したのは、暗示で格闘の姿勢にバランスを欠いていたのが原因だ。また更衣室で平野が首を横に振った時、左は大きく振って、右側には振らなかったのも同じ理由からだった。
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