第一章 幽霊部員

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 四月の終わり頃でギブスが取れているものの、まだまだ本調子とはいいがたく、夏の県大会に筋力トレーニングが間に合うかと担任の金本も心配している。  そんな満身創痍の景子に、道着姿の平野が運動場から駆けつけてきて「待った! 助けておケイ!」と、手を合わせて拝んでくるからたまらない。  平野も同じ空手部で、中学からの親友で、お互いに《心の友》と呼び合い、あんまり仲がいいので、周囲には冗談半分でレズ疑惑まであるくらいだ。
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