第一章 幽霊部員

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 校門のところで捕まって「あのさ、わたしは怪我して部活も休んでんだよ」と、言い訳すれば「もちろん、一人では行かせないよ、わたしも行くから! ねっ! ねっ! それとも親友を見殺しにする気!」と、腕を引っ張られた。  こうなると景子は断れない。なんせ平野には、ある事件で命を救われた恩義があるのだ。  「あれが、また出たの?」と、訊けば「部室にいるのよ!」  そう言って身を震わせる。  「落ち着いて考えよう、なら先生か警察を呼べばいいでしょうよ! なんで私を頼るのよ~」  《出た》の《いる》のと騒いでいるのは、このところ女子更衣室に出没する幽霊のことだ。
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