第1章

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「(早く! 早く来て! 時間が無いの、お願い)」 チョコレートの箱を握り、祈る私の願いが叶ったのか、後ろから彼の声が聞こえた。 「遅れてごめん」 振り返った私の目に、足に包帯を巻いた彼の姿が映る。 「来てくれたのね、ありがとう」 私は、血が滲む包帯が巻かれた腕を見せながら、お礼を口にする。 彼は血の滲む包帯を指差し聞いて来た。 「何時?」 「20時間程前」 「僕もそれ位だ」 「じゃ、一緒に行けるね。あ! これチョコレート」 「ありがとう」 2人は階段に座りチョコレートをかじる。 綺麗な夜景の街の中からは、助けを求める叫びや、断末魔の悲鳴が聞こえていた。 4時間後、カップルは相次いで息を引き取り、折り重なって階段に倒れ込む。 2ツの死体は立ち上がり、餌を求め歩き出した。
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