潤 閉ざされた楽園

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 潤は、口数が少なく、あまり自分のことは、話さなかった。にもかかわらず、潤に関する噂は、一年の時から耳にしたし、二年で同じクラスになってからは、自然と、より詳しく聞くことになった。  潤の名前は模試の上位にも見かけたので、最初は、勉強ができる生徒なのかと思っていた。だが、そのうち、その一方で、補習や追試の常連メンバーでもあることが、わかってきた。うわさによると、二年への進級がかかった最終追試まで受けたらしい。うちの学校は進学校で厳しかったので、落第したりやめたりする生徒も毎年二、三人はいたのだが、潤は、かろうじて進級できたらしかった。  潤は、出席日数もぎりぎりだったらしい。いつもよからぬうわさがあって、うわさが本当ならば、素行もよろしくないということになる。なのに、なぜか先生にも目をかけられ可愛がられているように見えた。  潤は、同級生の特定の誰かと特別親しく話したり、いつもいっしょにいたり、ということがなかった。その代わり、いろいろな上級生に、度々、呼び出されているのを僕は見かけた。  こっそり後をつけていくと、校舎の裏庭で二人きりで話していて、潤は、いつも何か断っている様子だった。けれど、結局その後、潤は、昼休み、その上級生といっしょに弁当を食べていたり、いっしょに下校したりしているのだった。  潤には、もう高校を卒業した兄さんがいるらしかった。それで上級生や先生が、潤に親しげなのだろうかと、一人っ子の僕は、少しうらやましく思った。  その頃の僕は、まだ、何も知らない子どもだった。
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